月経困難症の原因・症状・対策は?低用量ピルによる効果も解説

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生理中に起こる痛みや不快症状は誰にでも経験があることでしょう。しかし、仕事や家事ができないほどの症状に悩まされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

生理痛や生理に伴う病的な症状によって、日常生活に何らかの支障を来してしまう病気を「月経困難症」といいます。

今回は、月経困難症が起こる原因と、主な症状、対策について解説します。

月経困難症の原因は?

月経困難症は、原因となる病気があるかどうかによって2つのタイプに分けられます。

機能性月経困難症

機能性月経困難症とは?

「機能性月経困難症」とは、原因となる病気がない月経困難症のこと。初経後1〜3年以内に発症することが多く、年齢とともに改善していく傾向があります。

原因となる病気がなくても月経困難症になる理由として、以下の4つが考えられます。

①プロスタグランジンの過剰分泌

生理が始まると、子宮の内側ではがれ落ちた子宮内膜を身体の外に出すために子宮を収縮させるプロスタグランジンという物質が出てきます。プロスタグランジンが過剰に分泌されると子宮が収縮しすぎて子宮の血流が悪くなり、結果として痛みが起こるとされています。

② 子宮口が狭い

若い人や出産経験のない人は、子宮と腟をつなぐ部分が狭くて硬いためスムースに月経血を送り出せずに痛みが起こります。また、子宮口が狭いと月経血が逆流して卵管を通って骨盤内に流れ込み、月経血に含まれるプロスタグランジンによって痛みが出る事も考えられます。

③ 心理的な要因

「生理は痛い」「生理は嫌」「生理はうっとうしい」など、月経への不安や緊張などから痛みが起こる場合もあります。また、日々のストレスが原因となることもあります。

④ 運動不足や冷え

運動不足や冷房・薄着などにより血流が悪くなることも、痛みを引き起こす原因となります。

器質性月経困難症

器質性月経困難症とは?

「器質性月経困難症」とは、何らかの病気があり、それに伴って月経時に症状がでる月経困難症のこと。

<月経困難症を引き起こす主な病気>

  • 子宮内膜症
  • 子宮腺筋症
  • 子宮筋腫

「器質性月経困難症」の場合は、月経時の痛みの治療だけでなく、根本となる病気の治療もあわせて行わないと症状は収まらず、病気自体が進行してさらに悪影響をもたらす可能性もあります。

月経困難症の主な症状

機能性、器質性どちらの月経困難症の場合でも、一番多い症状は月経時の痛みです。

「生理は痛いもの」として我慢していると、悪化してしまったり病気を見逃してしまったりする可能性もあるため、以下のような症状が気になる場合は、一度医療機関を受診してみましょう。

  • 下腹痛
  • 腰痛
  • お腹の張り
  • 吐き気
  • 頭痛
  • 疲労・脱力感

月経困難症の対策

子宮内膜症や子宮筋腫が原因の器質性月経困難症の場合は、原因となっている病気に対する治療が優先されますが、痛みに対する治療としては主に薬物療法が行われます。

薬による対症療法

痛みに対する対症療法としては、鎮痛薬や鎮痙薬、漢方薬が主に使用され、症状によっては併用されることもあります。

鎮痛薬 痛みの原因物質であるプロスタグランジンを抑える
鎮痙薬 子宮の発育不全に伴う月経痛に効果がある
漢方薬 継続的に服用することで症状改善が期待できる

ピルによる内分泌療法

鎮痛薬などで痛みが軽減されない場合は、ピルなどのホルモン剤を用いて、月経を調節したり、痛みの原因となる病気をコントロールすることで症状を改善します。

月経困難症にもっとも多く使われている内分泌療法は、低用量ピルです。

ピルにはエストロゲンとプロゲステロンの2つの女性ホルモンが含まれていますが、ピルを服用することで排卵を止め、内膜が厚くなるのを防ぎます。そのため、内膜がはがれ落ちる際の子宮収縮による痛みを軽減できるのです。

ただし、年齢や既往歴によってピルを服用できない方には、黄体ホルモンのみが含まれた薬や、子宮内に挿入し持続的に黄体ホルモンを放出する「ミレーナ」が使われます。

いずれにしても、医師と相談してから自分に合った方法を選びましょう。

まとめ

生理に伴う辛い症状は人と比べられないため、我慢をしてしまっている方も多いはずです。

痛みの原因として子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が隠れていることもあるため、毎月の生理痛に悩んでいる方は、医療機関を受診して原因を探りましょう。

痛みに対しては主に対症療法が行われますが、卵巣や子宮内膜に直接働きかけができる低用量ピルも効果的です。

辛い症状がある場合は一人で悩まずに、まずは婦人科を受診してみてくださいね。